ソファーに寝そべりTVを観ているのか寝ているのかウトウトしている夜9時過ぎ、何やら出窓からカソコソと僅かな音が……。
「何かいる?!」
耳をそばだてると、微かに羽音が………。どうも虫が紛れ込んでいるもよう。カーテンを開けると虫は飛び出し部屋中を飛び回る。壁にぶつかり、狭い部屋を音を立てて飛び回る。丸く黒い大き目な虫。
「ぎゃあーーー」
虫嫌いな私は、大騒ぎ。で、隣の部屋で寝ている夫に「ちょっと、ちょっと、虫が居る。早くどうにかして」と言って叩き起こすも、「ほっとけ、そのうちどっか行く」と動こうとしない。そんな夫のお尻を叩くと、しぶしぶ動き出した。『何とかする』とは処分するという意味で…………。
「俺は殺生なんかようしん(出来ないの意)!」
と言いながらも、女房の形相に仕方なく殺虫剤を持ち出し『シュー』。モタモタしている夫に業を煮やし、殺虫剤を奪い取り敵目掛け『シュ、シュ、シュー』………。可哀想に益々飛び回る虫。数秒後床に落ち………。見ると、カナブンのようだ。まだ、動いてる。瀕死の状態というところか………。それを紙に乗せ、外に逃がす夫。
「お前は、残酷だ。可哀想に……。ナンマイダー」
「誰が持ってきたの?アンタでしょ!」「玄関開けっ放しに、しとったんじゃないの?」「もう、ちゃんとやってよ!」
矢のような女房の口撃に、黙って布団に潜り込む夫。
可哀想だったけど、これで安心して眠れる。こんなこと、前にもあったなぁと、寝ながら考えた。どうゆう訳か、いつもカナブンが餌食になる。なんでかなぁ~と思いながらも、夢の中へ………。
そしてある日、また部屋の中を大き目な虫が飛び回っている。あわてて、窓を開け逃がすことに成功するが…………。
その時、ひょっとしてと、頭をかすめたものがあった。私は今、洗濯物を取り込んでいる。もしかしてだけど、洗濯物に付いてきたってこと???? ということは、あのカナブンも洗濯物に付いてきたのでは??
犯人は、私?! だったようだ。
もちろん、夫にはナイショのハ・ナ・シ。