女のため息

名古屋郊外在住 アラ還の平凡な主婦です。経験したことや、思ったことを 思い出しながら綴りたいと思います。

『チビ』

子供の頃、我が家には『チビ』と言う犬がいた。妹が、何処かに捨ててあった産まれて間もない仔犬を連れて来たのだ。

 

 

「ねぇ、この犬飼っても良い?良いよね?ね・ね!」と妹は必死に母に訴えていた。

 

 

当時は、産まれたての仔犬の入ったダンボールが、町中に良く置かれていた。中には『可愛がって下さい』とか書かれてあったり………。

 

 

連れて来た仔犬は、ちょっと柴犬のかかった雑種犬で、クルッと回った尻尾とキョトンとした目が、とても可愛かった。


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我が家の決定権を持つ母が、

「番犬にも残飯整理にもなるし……。う〜ん、あんた達(子供たち)が、面倒みるんだったら飼っても良いよ」との条件付きで、捨て犬を飼うことになった。

 

 

餌・散歩・糞の始末等々、私達子供3人で分担しヤル気満々でスタートした。犬小屋は、父が日曜大工で作り庭に置いた。

 

 

まず、仔犬の名前をどうしようか?名前を決める前から、小さいので皆が「チビ・チビ」と呼んでおり、そのまま『チビ』が名前になった。当時、『チビ』という名の犬は其処此処に一杯居た。

 

 

そのチビとの生活が始まった。朝・夕に兄妹が交代で散歩に連れて行き、餌はその日の残り物(ご飯にお味噌汁をかけた様な物)、庭に落とした物は集めてゴミに出し………。そんな役割も、段々と怠け出し母の登場となってしまったのが残念だったが……。そんな生活でもチビは、全身で私達を愛してくれ、私達もチビを可愛がった。

 

 

そんな小さなチビも成犬になり、といってもチビは余り身体が大きくならず、チビのままで可愛かった。外で飼われていたチビは、幾度となく子供を産んだ。

 

 

一度に何匹も産み、産まれたての赤ちゃんはメチャクチャ可愛かった。赤ちゃんはチビの乳を飲みスクスク育っていく。となると、困ったのは貰い手探し。ウチではチビを一匹飼うだけで精一杯。色々と当たってみるが、貰い手は見つからない。数匹は、親戚や近所の人に貰われて行ったが、あとは………。


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母は、「誰か可愛がってくれる人がいるかも知れない」と、遠くの公園やら、保健所の近くなどに赤ちゃんを連れて行った。チビが赤ちゃんを産むたびに、このような行為が繰り返された。

 

 

あのチビの赤ちゃんは、どうしたのだろうか?良い人に貰われたのだろうか?どうして、母は保健所の近くに捨てたのか?母に聞いても、「良い人に飼われているでしょう」と言うだけ。

 

 

多分、保健所の近くに捨てた赤ちゃんは、殺処分されたんだろう。そして、公園に捨てた赤ちゃんは、ひょっとして数匹は誰かに飼われて、あとは野良犬になってしまったのだろうと、子供心にも感じていた。

 

 

今の時代だと、動物虐待になるのだろう。当時は、当たり前のように存在していた。

 

 

 

 

そんなチビも歳を取り、段々と餌も食べなくなり、私達子供が学校に行っている時に、静かに亡くなった。学校から帰ると、既にチビは荼毘にふされていた。最後のお別れも出来ないまま…………。

 

 

 

 

 

あれ以来、ペットは飼っていない。