うちの夫は昭和の男で、『男は外で一生懸命働き、女房・子供を養うことが、一番大切なことである。』みたいに考えている人間です。真面目に身を粉にして働くことを旨としているところがあります。彼の父親がそうであったように・・・
家庭のことは、二の次のようなところもあり、でも決して家族のことを思っていないわけでなく、深く愛している・・・・。
これからの話は、娘を持つ父親としての通らなければならない思いや、あたふたする様を綴ってみた記事です。ブログを始めた頃の記事で再掲となります。(古くからお付き合いがある方にとっては、覚えがあるかもしれませんが・・・・。少し手直ししてみました。)
県外の大学に通っている娘が帰省した。就職が決まり お祝いの時計を一緒に見るために帰省したのである。
駅前のデパートで物色するため地下鉄に乗っていた。唐突に 娘が 今度 沖縄に行くと言う。「誰と行くの?」と聞くと、ちょっと口ごもりながら「彼」と言う。
「えっ!」
私には予想だにしていない言葉だった。娘 も そんな歳に なったのだと驚きながらも大人になったことに、一抹の寂しさを覚えながら、正直に私に言ってくれたことに 良い子に育ってくれたと安堵した。
「お父さんには、言わないで!」と娘。
しかし、言わない訳にはいかない。二人の娘だからである。
その晩 お父さんに言うことを娘に伝えた。「わかった。」と言いながら、娘は、お風呂に…。
私は、夫にその旨 伝えた。夫は、みるみる表情を険しくし、「何!誰だ その男は!許さん!!」声を荒げ 顔は真っ赤に なっていた。
そして、「お前は 何と言ったんだ!良いと言ったんか!それでも母親か!」あげく、「もう アパートを引き上げ、家から通わす!」と 普段 温厚な夫がパニックになっている。
風呂から出てきた娘に、夫は、「絶対にダメだ!もう明日から大学へは家から新幹線で通いなさい。」
その怒りように娘も驚き「わかった。沖縄には、行かない。」
翌日、夫が「昨日は興奮して眠れなかった。大声を出して悪かったと言っておいて」と言い残し仕事に行った。
娘は アパートへと帰って行った。
娘には、「お父さん、凄かったね!あんなに怒って」「こんなに 大事に思われているのがわかったでしょ?」
娘は、小さく頷いた。
父親というものは、娘が可愛いくてたまらないのだと、少し嫉妬しながらも、いいな!と思った。
私は小さい時に父親を亡くしている。父親が生きていたら、こんな風に怒ってくれただろうか?
3年後 娘は その彼と結婚した。